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MAILLARD LAB JOURNAL

殻むきの実験に、ぼくが呼ばれていないわけ

ぼくはアスコ、ビタミンC。熱に弱くて、火のそばではちょっと泣きそうになる。でも今回の主役は、蒸し加熱と氷水で殻をむく卵。ぼくが見守るこの実験で、わかることと、まだわからないことを一緒にたどろう。

殻むきの実験に、ぼくが呼ばれていないわけ

卵のそばで、ぼくは出番を探している

卵のそばで、ぼくは出番を探している

ぼくはビタミンC。熱に弱いから、加熱の気配だけで少ししょんぼりする。なのに今回、台所の真ん中にいるのは卵だ。沸騰水でゆでる方法と、蒸気で加熱して氷水で急冷する方法。殻のむきやすさを比べる研究らしい。

「蒸して冷やすと、白身が殻にくっつきにくくなるのかな?」という仮説は、料理好きには気になるところ。きれいにむければ、サラダや弁当に使うときも表面が整いやすい。けれど、ここに書かれているのは、あくまで仮説と、結果をどう見分けるかという計画。実際に蒸して比べた結果はまだないんだ。

ぼくが卵に入り込んでいるとも、卵の殻むきを助けるとも言えない。今回の料理素材と研究計画には、ビタミンCを加える記述がないからね。ちょっと寂しいけれど、出番がないところを正直に伝えるのも、ぼくの仕事だよ。

「きれいにむけた」を、目で確かめる

「きれいにむけた」を、目で確かめる

この仮説の見どころは、むき終わった卵を並べて比べるところ。殻と一緒にはがれた白身の量が少ないか。むいた表面の凹凸が少ないか。期待されているのは、この二つの観察で蒸し加熱と急冷の仕上がりを確かめることだ。

「するっとむけた!」だけだと、その日の印象に引っぱられやすい。白身の傷み具合や表面を比べれば、何をもって使いやすいとするのかが見えやすくなる。サラダに載せる卵なら、形の整い方は盛り付けにも響くし、弁当なら扱いやすさにも関わる。見た目の感想を、観察できる違いに置き換えているんだね。

ただし、ここでは測定方法や条件の細部、比較の結果までは示されていない。だから「蒸して急冷すれば必ずきれい」とはまだ言えないよ。白身のはがれ方と凹凸を、同じ目線で比べる。その設計が、この研究の入口なんだ。

蒸気と氷水、それぞれの役を見つめる

蒸気と氷水、それぞれの役を見つめる

比べる二つの方法には、加熱のしかたと、加熱後の扱いの違いがある。片方は沸騰水でゆでる。もう片方は蒸気で加熱し、そのあと氷水で急冷する。研究の問いは、この組み合わせで白身の殻への付着が減るかどうかだ。

ここで気をつけたいのは、違いをひとまとめにしすぎないこと。「蒸気だからむきやすいのか」「氷水で冷やしたことが関係するのか」。この計画だけでは、それぞれの役割を切り分けて確かめたとは言えない。わかっているのは、蒸気加熱と急冷をセットにした方法を、沸騰水でゆでる方法と比較する、ということ。

料理の手順を見ていると、つい理由まで決めたくなる。でも、実際の結果がない段階では、仕上がりへの期待と確認済みの事実を分けておきたい。ぼくも涙をぬぐって、いったん観察係に戻るね。

ぼくの熱の話は、別の皿で

ぼくの熱の話は、別の皿で

ぼくは熱に弱いビタミンC。だから加熱の話になると、つい自分の身を案じてしまう。でも、この卵の研究計画にはトマトも、ビタミンCの量も出てこない。卵の凝固やソースの仕上がりについてのメモは別の料理のものだから、今回の説明に混ぜないでおくよ。

たとえば、加熱したトマトを先に煮詰めてから卵を弱火でまとめる工夫は、トマトと卵の皿についての知見。卵を軽く混ぜ、ぐるぐる攪拌しすぎず、火を止めて余熱で仕上げる。そんな手順は、半熟感やソースとのなじみを調整するためのものだ。殻むきの比較とは問いが違う。

話題が似ているからといって、別の料理の仕組みをこの卵の殻むきに結びつけると、根拠がぼやけてしまう。ぼくは泣き虫だけど、そこはきっぱり線を引くよ。今回の答えは、蒸し加熱と急冷で殻むきがどう変わるかを実際に比べてから。

答えは、むいたあとの表面に待っている

答えは、むいたあとの表面に待っている

もし提案された条件で、殻と一緒にはがれる白身が少なく、むいた表面の凹凸も対照より少なければ、サラダや弁当に使いやすい卵に近づく。期待されている判定はそこ。でも今はまだ「そうなればよい」という段階で、結果が出たとは書かれていない。

料理の小さな改善は、食べる直前の見栄えや盛り付けのしやすさを変えることがある。だからこそ、方法の名前だけで成功と決めず、殻をむいた状態を確かめたい。条件をそろえて並べ、白身のはがれと表面を比べる。そこまでできて、はじめてこの仮説が料理の現場で役立つかを考えられる。

ぼくは今回、卵の中にも殻の内側にもいない。それでも、何が確かで、何がこれからなのかを見張っているよ。熱には弱いけれど、話の筋をあいまいにするのは苦手。実験の結果が出たら、また一緒に見届けようね。

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